最初の数カ月は順調に支払われていたのに、年月が経つにつれて養育費の支払いが滞るようになるような事はよくあることです。
毎月スムーズに養育費が支払われず飛び飛びになったり、だんだんと数ヶ月開くようになったり、しまいには全く支払われなくなってしまう場合もあります。こちらからの問いかけにも応じず、連絡が取れなくなってしまう場合もあるくらいです。
途中で支払われなくなる事も多い
実際、子どもが自立するまでの間、最後まで順調に支払われるケースは非常に少なく、厚生労働省の調査でも1割強という結果が出ているほどです。
再三のこちらからの支払い請求に応じてもらえない場合や、相手と連絡が取れなくなってしまうような状況になってしまった場合は、そのまま養育費をあきらめるしかないのでしょうか?
泣き寝入りする必要はありません
養育費の支払いを拒否されたり、こちらの請求にも応じてくれないからといってあきらめる必要はありません。養育費は子どもにとって必要とされるお金ですし、子ども自身が受け取る権利のあるお金です。
支払い義務者がこちらからの呼びかけに応じないからといって泣き寝入りすることは、子どもに対しても不誠実な対応になります。一度止まってしまった養育費の支払いを再開してもらう方法はいくらでもあります。どうか、お子さんのためにもしっかりと行動してほしいものです。
まずは離婚時の約束を確認
離婚時、養育費についてどのような約束を交わしたのかを確認することが大切です。たとえ協議離婚であっても、養育費については必ず取り決められているはずです。
いつの期間までにいくら支払うなど、取り決めたうえで離婚届にサインをしているはずですので、内容を一度確認してみましょう。今後、その内容に沿って手続きを進めていくためにも必要なことです。
その約束、公正証書にしてありますか?
養育費や離婚後の事について、口約束だけで済ませてしまっている場合は注意が必要です。双方の合意だけでは、法的な強制執行力がありません。離婚協議書は相手に「そんな約束はした覚えはない」と言わせないための武器になります。
さらに公正証書としておくことで、「そんなもの勝手に作ったんだろうから、こっちは知らない」といえなくなるのです。公正証書を作成していない状況で、強制執行を行うようにするためには、改めて養育費や慰謝料を請求する裁判や調停を起こして勝訴する必要があります。
公正証書は"強制執行認諾約款付き"に
強制執行認諾約款付きにすると、公正証書よりも強制力が高くなるため、訴訟を起こさなくても裁判所を通して強制執行を申し立てることができます。今すぐにでも養育費を支払ってもらいたい!という時に、訴訟を起こして長い期間裁判などをすると、時間も費用もかかります。強制執行認諾約款付きにすることで、これらの手間もかけずに強制執行をしてもらうことができるのです。
もし、これから離婚を考えているというのであれば、必ず離婚協議書を作成して、強制執行認諾約款付きの公正証書としておきましょう。
強制執行でできることは?
強制執行認諾約款付きの公正証書でない場合でも、強制執行は可能です。強制執行となると、かなり相手にプレッシャーがかかることとなりますので、対応は慎重にする必要がありますが、再三の請求に応じてくれない場合はやむを得ないこともあるでしょう。
相手の口座がわかっているのであれば、預金などから支払うように差し押さえることが可能です。ですが、これから先、継続的に支払いを求めるのであれば、給与を差し押さえたほうがお互いにとって良い方法だといえます。
給与の差し押さえを行うと、裁判所から勤務先に対して差し押さえ命令が発令され、給与から直接養育費が引かれて振り込まれるので確実性が高い方法となります。
強制執行には注意も必要
給与を差し押さえると、養育費の受け取りは確実なものになります。ですが、差し押さえ命令が発令されると、その事実が会社に知られることとなります。その事実に耐えられず、退職をしてしまう人も少なくありません。
また会社によっては、クビを言い渡す例もあるようです。当然そうなると、強制執行をしても養育費は支払われなくなってしまいます。言い方は悪いですが、逃げられてしまうと支払ってもらうことはますます大変になりますので、ある程度の覚悟の上で強制執行を行うことが大切です。
まずはできることをできる限りやってみる
養育費は子どもが自立するまでに必要な費用です。離婚したとはいっても双方の親に、子どもを養育する義務があります。それぞれ事情はあることとは思いますが、子どものためを思ってできる限りのことはやってみるべきです。
手続きが大変なこともあるでしょう。時間ばかりかかって、なかなか状況は変わらないこともあるでしょう。ですが、決してあきらめないで行動してあげることも愛情なのではないでしょうか?