現在の日本では、結婚すると女性が男性側の姓を名乗ることが一般的です。
当然、二人の間に生まれてきた子供も、男性側の姓を名乗ることになります。
この「相手側の姓を名乗る」ということは、これまでの自分の戸籍から抜けて、相手側の戸籍に入るということです。
つまり戸籍の書類上において、男性が戸籍筆頭者となり、妻や子供はその男性の家族として男性の戸籍の中に位置づけられています。
離婚をすると、女性は男性の家族ではなくなります。
男性を筆頭者とする戸籍からも、抜けなければなりません。
では、離婚した女性の戸籍はどうなるのかというと、基本的には結婚前にいた戸籍に戻ることになります。
離婚届を提出すると、女性の戸籍は自動的に結婚前の戸籍に戻るしくみになっているので、特に本人の手続きは必要ありません。
つまり逆にいうと、離婚後も婚姻中の姓を名乗りたい場合、何も手続きをしなければ自動的に戸籍は戻ってしまうということになります。
しかし、離婚後も婚姻中の姓を使い続けることは可能です。
手続きの方法は「離婚の際に称していた氏を称する届」という書類を市町村の役所に提出するだけです。
この書類は、役所の窓口においてあります。
記入する事項も住所や本籍地といった特に難しいものではなく、また、離婚した相手の承認欄などもありません。
また提出するタイミングも、離婚届と一緒である必要はなく、いったん結婚前の戸籍に戻ってからでも提出することができます。
この書類を提出することによって、女性自身を筆頭者とする、婚姻中の氏名を使用した戸籍が出来上がります。
姓が同じであっても筆頭者が違うので、戸籍上では元夫とはまったく関係はないことになります。
また、婚姻中に男性が女性の姓を名乗っていた場合でも、同じ手続きで婚姻中の姓を名乗り続けることは可能です。