子どもがいる夫婦が離婚する際に、子どもの親権を夫婦のどちらにするかを決めなくてはなりません。
夫婦双方が子どもの親権を巡り対立し、話し合いが困難になった場合は、家庭裁判所の調停や審判において親権者が決められることになるでしょう。調停や審判で子どもの親権が決められる場合は、一般的には母親が有利になるといわれています。確かに子どもが幼いほど、親権は母親に決められる傾向にあるのです。
親権は母親が有利になるとは限らない
しかし、近年は母親だから有利ということはありません。
母親による子どもへの虐待や育児放棄など、親権者として相応しくない事実がある場合は、父親が親権者になることもあるのです。また、母親より父親の方が子どもに対する愛情が深く、養育環境が適していると判断されれば父親が親権者として有利になります。
親権で有利になるための条件とは?
子どもへの深い愛情があること
子どもが親になついていることはもちろん、親の子への愛情の深さも親権者を決める基準になります。育児や子育てへの関わり方やその内容が重視されます。
心身ともに健康であること
子どもの親が病気や重い精神病だった場合、子どもの日常生活や子育てに支障をきたす可能性があるため、親が心身共に健康であることも親権者を決める上で考慮されます。また、親がアルコール依存症や薬物中毒だった場合は親権者になれません。
養育環境が整っていること
離婚後に子どもを育てる養育環境も考慮されます。離婚する前と同じレベルの養育環境が維持できること、子育てに協力してくれる親族などが近くにいるなどの条件は親権者を決める際に有利になります。
働いていること
働いていなければ親権者になることはできないということはありませんが、働いて安定した収入を得ていた方が親権者として有利になります。
子どもの意思も尊重される
調停や審判で親権者が決められる場合、家庭裁判所の調査官は両親のみならず、子どもの養育状況や健康状態なども調査します。調査官は家庭訪問を行ったり、必要があれば子どもの学校を訪問したりして、離婚後の子どもの福祉や幸せを考慮して親権者を決めます。
子どもが10歳以上なら、子どもの意思も優先・尊重されます。
例えば、家庭裁判所の調査官の調査において親権者として母親が相応しいという結果になっても、子どもが、「お父さんと一緒に生活したい。」
と望めば、子どもの意思が優先・尊重され、親権者は父親になる場合もあるのです。
離婚は夫婦の意思で決まってしまうものですが、親権は子どもの気持ちを置き去りにして決められてはなりませんね。