未成年の子どもがいる場合、離婚の際に大きな問題となるのが、離婚後にどちらが子どもの親権をとるかではないでしょうか。
母親の立場からすれば、親権争いは母親が有利であり、当然もらえるものだと思ってはいませんか?実際、約8割のケースで母親に親権が渡っているようです。
しかし本来、親権とは、母親だからもらえるものではありません。
では、離婚後の親権は一体どういった基準で決めるものなのでしょう?
1.親権は子どものためにある
親権とは本来、子どもの利益と福祉を第一に優先し、どちらが子どものためになるか、という視点で考えるべきものだとされています。
主に重視されるものとして、今現在誰と暮らしているか(誰に監護されているか)、親の監護意欲・生活状況、子ども本人の意思などが挙げられます。
子どもが現在通い馴染んでいる学校や友人関係を壊すことは望ましくない、とされているわけです。
また、子どもの年齢が低ければ低いほど、細かな身の回りの世話が必要となることが想像できますよね。
つまり、長時間労働になりがちで、家にいる時間が少ない父親はその点で不利になりがちです。
その辺りから、親権は母親が得られて当然、という誤解が生まれやすいのかもしれません。
2.父親が親権を得るであろうケース
約8割のケースで母親に親権が渡るとはいえ、父親が親権を得るケースも勿論存在します。
例えば、離婚に向けて別居中、父親が子どもと一緒に実家の両親と同居していればどうでしょう。
父親が仕事に行っている間、子どもの世話を任せる相手がいる等の協力がある場合、子どもの監護において問題がないと判断されるかもしれません。
また、母親が子育てにふさわしくない、と判断されるケースもあります。
例えば、ギャンブルがやめられず子どもとの生活が破綻してしまう、アルコールに依存している、異性関係に問題がある等が挙げられます。
子どもにとって悪影響であると考えられる場合、親権は父親に渡ることになるでしょう。
そして、子どもの意思も重視されます。子どもが15歳以上であり、父親と暮らすことを強く望めば、その気持ちは汲み取ってもらえるはずです。
3.子どもを傷つけない配慮を
親権という言葉のイメージが強いせいか、親権を得られないと親でなくなってしまうような喪失感を抱いてしまうのかもしれません。
しかし実際は、親権が得られなくとも、子どもの親であることに変わりはありません。子どもに対する権利も義務も継続していくのです。
何が何でも親権をと思いつめてしまうことは、子どもにとっても辛いことです。
子どもと同居している親が有利になるからと、父親が仕事に行っている間に子どもを連れて出て行くことや、「どちらと一緒がいい?」と選択を迫るようなことをすれば、それは子どもにとって大きな傷になってしまう可能性があるのではないでしょうか。
親権は子どもの利益と福祉を重視したものであることを忘れず、子どもの幸せを第一に考えてあげて下さいね。