離婚を考えた時に、収入が多いほうが親権の取得に有利だと思いますか?
たしかに子どもとの今後の生活にはお金も必要ですが、親権者を決定する際にもっとも重視されるのは経済力ではありません。
たとえ収入が少なくても親権者になれる可能性は十分にあるのです。
親権者決定に収入は最重要項ではない
離婚を考えた時に、専業主婦であったりパートタイムで働いている場合、経済的な不安を抱えている女性も多いのではないのでしょうか。
収入が少ないことを理由に、未成年の子どもの親権者になれないのではないかと心配される方もいらっしゃると思います。
しかし、安心して下さい。夫婦二人の話し合いで決まらず家庭裁判所の調停や審判になった場合、収入の多い・少ないは親権者を決める上でそこまで重要視されていません。
なぜなら、収入の少ない母親が親権者になったとしても、父親が養育費をきちんと支払うことで、子どもの生活が保障できるからです。
また、母子家庭が受け取ることのできる児童扶養手当や医療費助成制度などの公的扶助もありますので、それらも利用して子どもとの生活がやっていけるようであれば、収入が少なくても親権を取得できるのです。
親権者決定の判断基準
では、家庭裁判所では、何を基準に子どもの親権者を決めるのでしょうか?
一番重視されているのは、「父母どちらが親権者になることが子どもにとって幸せか」という「子どもの福祉」の観点です。
主に、以下のようなことが考慮されます。
今まで誰が主に子どもの養育に関わってきたか
子どもの生活環境が大きく変わらないように配慮されます。
子どもの意思
15歳以上の子どもには、必ず本人の意思を確認します。15歳未満であっても、ある程度判断能力がある年齢とされれば、子どもの意思は尊重されます。
兄弟姉妹不分離の原則
兄弟姉妹がいる場合、極力離れ離れにならないようにします。しかし、子ども同士の関係性や父母どちらと暮らしたいという意思にもより、柔軟に対応されています。
経済的な状況や資産状況もまったく考慮されないわけではありませんが、前述した通り、父親からの養育費や公的扶助で生活が成り立つ見込みがあれば、そこまで重視されていません。
子どもと安定した生活を送るために
収入の多い・少ないは親権の取得にそこまで影響しなく、監護養育に母親の手が必要と考えられているため、親権を取得すること自体は難しくないかもしれません。
しかし、小さい子どもを抱えてフルタイムで働くことは日本の今の現状では厳しくもあり、経済的に困窮する事態に陥る可能性はゼロではないのです。
養育費の不払いが社会的に大きな問題になっていることからも分かるように、約束をしたから安心、というわけでもありません。
そこで、養育費の取り決めには公的な書類を残す、公的扶助の申請を忘れないなど、基本的な知識は身につけるようにし、お子さんとの生活を守っていってくださいね。