親権の基礎知識

子どもの親権者を変更したいときは?

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子どもがいる夫婦が離婚するとき、子どもの親権を父親か母親か必ずどちらか一方に決めなくてはなりません。

親権者を定めて離婚した後になってから、

「離婚時は親権を相手に譲ってしまったが、それを自分に変更することはできないか?」
「調停で親権が相手に指定されたけれど、状況が変わったので親権者を変えたい。」

このよう変更を求める方も少なくありません。子どもの親権者を定めて離婚したあと、それを変更することは可能なのでしょうか?

親権者の変更は可能

離婚したあとに、親権者を変更することは可能です。

しかし1度決めた親権者を変更することは、そうそう簡単なことではありません。1度決めた親権者を変更する方法や親権者を変更するための条件などはどのようなものがあるのかをご説明します。

親権者を変更する方法とは?

離婚するときに決めた親権者を変更するときは、必ず家庭裁判所の親権者変更調停によって行わなくてはなりません。子どもの父親と母親が離婚後に話し合いで親権者を変更することに決めても、家庭裁判所の調停や審判を経なければ、子どもの親権者変更は認められないのです。

親権者変更調停の申し立て先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所になります。申し立てには、親権者変更の申し立て書の他、自分と相手方・子どもの戸籍謄本が必要になります。

変更の申し立てにかかる費用は、子ども1人につき1200円の収入印紙代と連絡用の郵便切手代くらいであり、弁護士に頼らず自分で手続きができます。

どんなときに親権者は変更できる?

一度決めた親権者は、それなりの理由がなければ変更はできません。

これまでは、親権者が死亡したり、親権者がアルコール依存症や薬物中毒などで子どもを養育することができなくなってしまった、などと判断される場合などに親権者の変更が認められてきました。

しかし、近年では子どもの虐待や育児放棄などによって子どもが犠牲になる痛ましい事件が増加していることを受け、子どもの養育環境が悪化している場合は親権者の変更を認めるケースも増えています。

例えば、母親が親権者になったものの内縁関係にある男性から子どもが暴力を受けている場合や、父親が親権者で子どもに食事を与えず、何日も家に帰らなかったりなどの育児放棄の事実が確認された場合です。

このように、単なる親のエゴで子どもの親権は変更することはできません。親権者の変更は、子どもの幸せと福祉を第一に考えてなされるべきものなのです。

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