近年の少子化問題の影響もあってか、子どもがいる夫婦が離婚する際、親権を巡って争いになるケースが増えています。
親権争いに祖父母も参戦
時として夫婦双方の両親(子どもにとっての祖父母)までが親権問題に口出しをして、夫婦の問題を更に複雑にしてしまう場合があります。親権はあくまでも夫婦間の問題ですが、孫を思うがあまりに感情論として発展してしまうことも数多くあるのです。
「孫はうちの大事な跡取りだから、そちらには絶対に渡さない!」
「家も貯金もくれてやる!でも孫の親権はこちらにあるから!」
このように、子どもの祖父母までが親権争いに参戦し主張してきます。
中には、子どもを自宅へ連れてきてしまう祖父母もいて、連れ去りとしてニュースになった事例もあるのです。
親権で揉めた場合の解決策は?
子どもの親権は、離婚する前に夫婦が話し合ってどちらが親権者になるか決めるのが一般的です。
ところがその親権を夫婦の双方が主張し一歩も譲らないというような場合や、上記のように夫婦の親族までが親権問題に首をつっこんでくるような場合は、冷静に親権問題を話し合うのは不可能になってしまいます。
このように親権で揉めてしまった場合は、家庭裁判所の離婚調停を利用し、その中で子どもの親権者を夫婦のどちらにするかについて話し合う方法があります。
親権ということでの話し合いは、夫婦間だと感情的になってしまいがちです。
よく、双方の親類や友人に話し合いの仲介をお願いするといったケースもありますが、公平に見ることの出来ない相手では適切とはいえません。
家庭裁判所の調停なら法律や家庭問題の専門家が対応してくれるので、公平な話し合いが期待できます。親権で揉めたら早い段階で家裁の調停を利用するといいでしょう。
調停でも親権が決まらなかった場合は?
家庭裁判所の調停は、弁護士に頼らず自分1人でも申立てすることができます。
費用も安く、気軽に利用できるというメリットがある反面で、調停には強制力がなく夫婦の話し合いを尊重する当事者主義を採用しています。このため、調停で提示された親権者の案が不服ならば、従う必要はなく拒否することもできてしまうというデメリットもあります。
このように、調停においても親権者が決まらなかった場合は不成立となります。調停が不成立になった場合は、自動的に審判へ移行して親権者が決められます。審判においては、家庭裁判所の調査官が子どもの父親と母親の収入や健康状態・子どもに対する愛情の深さなどを調査し、子どもの意思も尊重して親権者を決定します。この審判において下された内容には、原則的に従わなくてはなりません。