親権者でない側の親が子どもと会う権利のことを面会交流権といいます。これは、親の権利でもありますが、子どもが親と会う権利でもあります。
注意しなければならないのが、面会交流権と養育費は別の問題とされていることです。面会交流をさせなくても養育費を請求することもできますし、養育費を払っていなくても面会交流権を求めることができるのです。
大切なのは、面会交流権も養育費も子どものための権利であるということ。そのことを忘れずに、解決策を探ってみましょう。
面会交流権と養育費支払い義務は別問題
離婚をして以来養育費を払っているけれど、子どもとの面会は約束通りできない。そんな状況では、養育費支払いのモチベーションが下がってしまうのは避けられないことでしょう。
しかし、子どもと会えないなら養育費は払わない、というわけにはいきません。同様に、養育費が払ってもらえないから子どもに会わせない、とも言えません。
養育費と子どもとの面会はまったく別の問題と考えられているのです。
子どもとの面会については、離婚後にトラブルになりがちですので、面会の頻度や面会時間などについて、きちんと話し合いをしておくことが大切です。そして、離婚協議書などの書面に残しておくと良いでしょう。
夫婦共に、養育費と面会交流権は別の問題であり、交換条件にすべきではないと認識しておくことが大切です。
子どもと会いたい! その時は
子どもと会わせてもらえないのに養育費を払い続けるのがつらいと思われても、養育費はお子さんのためと考え、支払いは続けてあげて下さい。養育費と面会交流権は別問題とはされていますが、支払い能力があるのに養育費を払わないことで、面会交流権が制限されてしまう可能性があるからです。
その上で、話し合いで決められた面会の約束が守られない場合、家庭裁判所に「面会交流調停」を申立てることができます。調停不成立となれば「審判」となり、裁判官が決定を出すことになっています。
調停や審判で取り決められた約束が守られない場合、家庭裁判所から約束を守るように指導する「履行勧告」という制度があります。更に、面会の約束を守らない場合に罰金を科す「間接強制」という制度も利用できます。
子どもにも別れた親と会う権利があることを忘れずに、諦めず方法を探してみて下さい。
子どもの気持ちを尊重した面会交流を
養育費と面会交流は別の話であるとはいえ、人間の感情を考えたら、まったく切り離して考えられないのもまた事実です。
養育費の支払いと子どもとの交流は関連があるとするデータも発表されているように、子どもとの面会交流が養育費不払いを防ぐ可能性も無視できません。子どもと別れて暮らす親からしたら、子どもとの交流は養育費を払う原動力になることでしょう。
また、子どもからしても、別れた親が今も自分のことを考えてくれているというのは満足感や安心感に繋がり、ひいては健やかな成長に繋がるのではないでしょうか。
子どもが本当はどう思っているか、その気持ちを尊重し、離れて暮らす家族皆が納得できる着地点が見つかると良いですね。