養育費

養育費の不払いを防ぐために

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未成年の子どもがいる夫婦が協議離婚をする場合は、親権と併せて養育費の金額、支払い期間についても話し合い、取り決めしておく必要があります。

親権者だけを定め、養育費については離婚した後に決めるケースもありますが、この方法はお薦めできません。

離婚する前に取り決めを

次のような事例をご参考にしてください。

Aさんは、2人の子どもを連れて離婚することになりました。慰謝料も財産分与もありませんでしたが、子どもの養育費だけはきちんと支払ってもらうべきと思い、離婚するときに夫へ、
「養育費について決めておきたい。」
と、申し出ると、
「養育費はもちろん払うよ。具体的なことは離婚して落ち着いてから話し合おう。」
と、夫から提案されAさんは承諾してしまいました。

離婚して数か月後、元夫へ連絡すると携帯電話は繋がらず、離婚する前に教えられた住所には住んでおらず引越しをしてしまった後でした。

このように養育費の取り決めを離婚後に先延ばししてしまうと、養育費の具体的な話し合いすらされないままに相手方が行方をくらましてしまうようなケースもあるのです。養育費の金額、支払い時期についての話し合いは必ず離婚する前に行っておきましょう。

口約束は無効

また、このような事例も多くあります。

Bさんは、10歳になる1人息子を連れて離婚しました。
「養育費は毎月5万円。息子が18歳になるまで払う。」
元夫がこのように約束してくれましたが、実際に振り込まれた養育費は3万円でした。その後も養育費は3万円のままです。
Bさんは元夫へ連絡して、
「約束が違う。養育費は5万円と約束してくれたでしょ!」
と、抗議しましたが、
「5万円支払うなんて言った覚えはない!毎月3万円ちゃんと支払っているんだ。有難く思え!」
と、言い返されてしまいました。

口約束だと、このように「言った!」「言わない!」の水掛け論になることも少なくありません。残念ながら、口約束だけで無効なのです。

養育費の取り決めは必ず書面に

養育費は、子どもが自立するまで毎月支払われるものです。長い期間、確実に相手方から養育費を支払い続けてもらうためには、養育費の金額・支払い方法・支払い日・支払い期間など取り決めた事項を、離婚協議書や公正証書などの書面にして、証拠として必ず残しておくようにしましょう。

Bさんの事例のように、口約束だけの養育費の取り決めは、何の効力もありません。養育費について取り決めた事項を書面に残しておけば、先々養育費が支払われなくなるようなことがあっても、書面を証拠に家庭裁判所へ養育費請求の調停を申し立てることができます。

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