離婚協議中、あるいは夫婦仲が悪いことなどを理由に別居している夫婦は少なくありません。
未成年の子どもがいる夫婦の場合は、子どもとの同居や面会を巡って争いになるケースが多いといいます。争いが高じて、子どもと同居していない側の配偶者が、強引に子どもを連れ去ってしまう事件が多発しています。
母親の実家で生活していた1歳の長男を、別居中の父親が車で連れ去ってしまった。
7歳の長女を別居中の母親が下校途中に声をかけて、連れ去ってしまった。
このように、子どもと別居している親による連れ去り事件は後を絶ちません。
わが子でも、強引に連れ去れば処罰される場合も
「子どもに会いたかった。会いたいと頼んでも妻(夫)から拒否されていた。」
「子どもと一緒に暮らしたかった。子どもを連れ去るしか方法はなかった。」
子どもを連れ去ってしまう親は、大半がこのような理由だといいます。我が子なのだから連れ去っても犯罪にはならない。処罰の対象にもならないだろうと思っている親が、数多くいるのです。
しかし、たとえ我が子でも同居している親の許可なく、強引に子どもを連れ去ってしまうと罰せられます。未成年者略取罪として逮捕され、処罰の対象になってしまうのです。
別居している親が子どもと会いたい場合は、同居している親の許可をもらって会うことが定められています。子どもと会わせてもらえないような場合は、『子どもとの面会交流を求める調停』を家庭裁判所で申立てる必要が出てきます。
子どもが連れ去られてしまった場合の対処法は?
子どもと別居していない親によって、我が子が連れ去られてしまうという恐ろしい行為。頼んでも子どもを戻してもらえない場合は、どうしたらいいのでしょうか?
ここでは、子どもが別居中の配偶者に連れ去られてしまった場合の対処方法について説明します。
(1)家庭裁判所へ申し立てる
家庭裁判所に対して、『子の監護権者の指定、子の引渡し』の審判の申立てを行います。家庭裁判所では子どもの父親と母親、双方から事情をよく聞き、子どもの養育環境も考慮した上で審判を下します。
連れ去った親に対して、子どもを戻しなさいという審判が下されると、これに従わなくてはなりません。
(2)警察へ相談する
連れ去られた状況などにより、子どもの身に危険が及ぶ可能性も考えられる場合は、警察へ相談してください。連れ去り方が強引かつ無理やりだった場合は、別居の段階でも警察が対応してくれる可能性もあります。