民法・第752条において『夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。』と定められているように、本来ならば夫婦には同居する義務があります。
しかし、さまざまな事情から別居をしている夫婦は少なくありません。
別居は大きく、次のようなタイプに分けられます。
- 夫婦関係が円満な状態での別居(夫の単身赴任や妻の里帰り出産など)
- 夫婦関係が破綻した状態での別居(浮気や暴力などが原因で離婚を前提とした別居)
後者の夫婦関係が破綻した状態での別居は、最終的に離婚を選択するケースがほとんどです。
子どもの親権はどう決められる?
別居から離婚することになったときは、慰謝料や財産分与・年金分割を話し合う必要があります。未成年の子どもがいる場合は、親権・養育費・面会等についても取り決めをしなければなりません。ですが中々スムーズにいかない場合も多いのです。その中でも親権においては、夫婦の双方が子どもの親権を主張し争となるケースが多く見受けられます。
別居期間中は、子どもが夫婦のどちらか一方と暮らしていたとしても双方が子どもの親権者でした。ですが離婚となると子どもの親権者は夫婦のどちらか一方しかなれません。
別居から離婚を選択することになった場合、子どもの親権はどのように決められるのでしょうか?
- 別居後、どちらの親と同居していたか?
- 子どもの年齢や性別。
- 離婚後の子どもの養育環境。
- 子どもへの愛情の深さ。
この4つが、親権を決める際に重視されるポイントになります。
子どもの親権をどうしてもとりたい場合
「別居する時に子どもを置いてきたが、子どもの親権を取りたい場合はどうしたらよいか?」
このような相談が多くあります。離婚に際して親権を決める場合、別居後も子どもと同居していた親の方が有利になります。
しかし、例外があります。
例えば、夫のDV(暴力)に命の危険を感じ、子どもを置いて妻が家を飛び出した場合や、浮気をした妻が夫の仕事中、一方的に子どもを連れて浮気相手のもとへ家出してしまった場合などです。
このような場合は、別居後に子どもと同居していなかったことで不利になるということはありません。ですので別居する際は、子どもを手許に置くことができなかった正当な理由を示すための証拠は、必ず残しておくようにしましょう。
配偶者のDVが理由なら、暴力の事実を示す医師の診断書や公的機関に相談した記録などが有力な証拠となります。浮気が理由の場合は、浮気の証拠写真などと併せて浮気相手の名前や住所は最低限押さえておく必要があるでしょう。