離婚後に子どもの親権者が亡くなった場合、親権はどうなると思いますか?
存命している親に自動的に親権が移ると思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、それは間違いなのです。
いざという時のために、知識を身につけておきましょう!
親権者変更の申立てを行う
離婚の際には、必ず父母どちらが今後の子どもの親権者となるかを決めなければなりません。
しかし、例えば元妻が親権者となって子どもと一緒に暮らしていたけれど、何らかの事情で亡くなった場合、親権はどうなるのでしょうか?
この場合、存命している親である元夫に自動的に親権が移る、ということはありません。
離婚後の親権は子どもの福祉の観点に基づき決定されていますので、親権者である元妻が亡くなったからといって、もう一方の親が自動的に親権者になることはないのです。
それでも、自分の子どもを引き取り親権者として育てていきたい場合は、家庭裁判所に「親権者変更」の申立てを行う必要があります。
申立てが認められた場合、存命している元夫が親権者となることができるのです。
未成年後見人制度を利用する
亡くなった元妻が両親と同居しており、働く母親に代わり祖父母が日常の子どもの面倒を見ていたような場合はどうでしょうか?
祖父母がこのまま子どもと一緒に暮らしたいと望んだ場合には、家庭裁判所に「未成年後見人」になりたいと申立てをする必要があります。
離婚の原因が元夫の暴力だったケースなど、子どもの今後が心配な場合は、遺言に残しておくこともトラブル回避の方法かもしれません。
未成年後見人とは、未成年の子どもの法定代理人であり、監護養育・財産管理・契約等の行為を行うことをいいます。
つまり、未成年後見人になるということは、親権者と同じような権利義務を負うということですね。
家庭裁判所の判断基準
このように、離婚後に親権者である元妻が亡くなった場合、元夫の親権者変更の申立てと元妻の親族による未成年後見選任の申立てが重複して行われる場合があります。
では、家庭裁判所はどちらが子どもの監護にふさわしいか、どのように判断するのでしょうか?
それには、子どもの福祉の観点が重視されることになっています。実の親子だからという理由で、元夫が有利になるということではないのです。
例えば、元夫がギャンブルを好み借金があるような場合、子どもの親権者になるにふさわしいとはいえません。
子どもが祖父母との生活に馴染み、愛情深く育てられていると判断されれば、祖父母が未成年後見人に選任されることでしょう。
しかし、どれだけ祖父母との生活が長くても、子どもがある程度自分の意思を伝えられる年齢であり、父親との生活を強く望む場合もあるかもしれません。
そして、父親の生活環境に問題がない場合は、子どもの意思を尊重する判断がなされる可能性もあるかもしれませんね。