親権の基礎知識

実は知らない!親権とは ─身上監護権と財産管理権

子供

親権という言葉は誰もが耳にしたことがあると思いますが、その詳細は知っていますか?

一括りに親権と言ってはいますが、その中身は大きく二つに分かれているんですよ。

いざという時に備えて、基本的な知識を身につけておきましょう!

1.親権=身上監護権+財産管理権

親権とは、未成年の子どもを監護・教育し、その財産を管理する権利と義務のことを指します。

親権という言葉のイメージから、親の権利と誤解されがちですが、義務でもあるのです。

通常は婚姻関係にある父母が共同で親権者となりますが、離婚などの場合、どちらが親権者にふさわしいかどうかは「子どもの利益になるかどうか」で判断されます。

さて、一言に親権と言っても、その中身は大きく二つに分かれています。「身上監護権」と「財産管理権」です。

では、それぞれの詳細について見ていきましょう。

2.身上監護権の詳細

身上監護権は、子どもを監護・教育する権利と義務のことです。そして、以下のように細分化されています。

居所指定権

子どもは、親権者が指定する場所に住むと決められています。親権者の定める場所で共に暮らすことが、身上監護を実践する前提とされているからです。

しかし、子どもが自らの意思で親権者以外の者の居所で暮らし始めた時は、子どもの福祉の 観点から、無理な連れ戻しはできないとされています。

懲戒権

親権者は、子どもを懲戒することができると定められています。

ここで重要なのは、「監護および教育に必要な範囲内で」と明記されていることです。

一般的な常識で判断するしかなく曖昧な面もありますが、行き過ぎた懲戒は親権濫用とされ、刑事責任になり得ます。

懲戒権に関しては、児童虐待防止の観点から、民法の条文に盛り込むべきかどうか議論が起こったこともある難しい問題です。

職業許可権

子どもは、親権者の許可を得ないと職業に就くことはできません。

また、一度許可した労働であっても、子どもに不利な契約であると親権者が判断した場合、契約を解除することができます。

代理権

本来は本人の意思によるべきものであっても、子どもが幼い場合、親権者の代理が認められていることがあります。

例えば、認知の訴えや、十五歳未満の子を養子とする縁組の承諾などがそれにあたります。

3.財産管理権の詳細

親権のうち、財産管理権とは、子どもの財産に関する権利・義務のことです。

未成年の子どもでも、祖父母からの相続などにより財産を保有しているケースがあります。

しかし、その財産を適正に管理するのは難しいことから、このような権利義務が存在するのです。

親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表すると定められています。

また、子どもの同意を得なければならない、とも明記されています。

そして、子どもが成年に達した時に、財産管理権は子ども本人に移るのです。

ここで問題になるのが、親権者が財産管理権を濫用してしまうことではないでしょうか。

これを防ぐために、「特別代理人」という制度があります。子どもの利益にならないことでは、いくら親権者であっても代理権は行使できません。

その場合、家庭裁判所に特別代理人の選任をしてもらい、特別代理人が子どもの代理人となるのです。

以上のように、親権とは大きく二つの権利義務に分かれており、どちらも根本は子どものためにあるということがお分かりいただけたかと思います。

親の権利にばかり捉われず、正しい知識を身につけて下さいね。

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