近年、別居する夫婦が増えています。
夫婦の別居とは、婚姻関係にある夫婦が何らかの事情があって別々に生活することをいいます。夫婦の別居といっても、さまざまなタイプの別居があることをご存知でしょうか?
例えば1999年にテレビドラマでも話題となった「週末婚」(出演:永作博美・松下由樹)
この週末婚は、平日は別々に生活(別居)している夫婦が、週末だけ一緒に過ごすというスタイルです。
少し意味合いが違いますが、配偶者が単身赴任や海外などへの長期出張で、やむなく週末婚のような別居生活を送る夫婦もいます。
一方で、離婚を前提とした別居もあります。配偶者が暴力をふるったり、浮気などが原因となったりした時など、別居を選択する夫婦もいるでしょう。
別居と子どもの親権
未成年の子どもがいる夫婦が別居する際は、子どもの親権が問題となる場合があります。親権とは、未成年の子どもを適切に育て、子どもの財産を管理する権利と義務のことをいいます。
婚姻期間中は夫婦の双方が子どもの親権者ですが、離婚するときには、子どもの親権者を夫婦のどちらか一方に定めなくてはいけません。夫婦が別居して別々に生活していたとしても離婚していない限り、夫婦は共に子どもの親権者です。
例えば父親が仕事上の都合で単身赴任で3年間海外で生活することになった場合、
子どもたちは母親とこれまでどおり日本で生活することになった場合は、子どもを直接養育するのは母親ですが、父親も親権者であることに何ら変わりはありません。
このように、夫婦間が円満な状態で諸事情により止むを得ず別居となる場合は、子どもの親権は夫婦の共同親権ということで問題ないといえます。ところが、離婚を前提とした別居においては、子どもは夫婦のどちらと生活するかで争いになり、子どもの親権を巡って対立する場合もあるのです。
別居する前に子どもの親権について話し合いを
たとえ離婚を前提とした別居をすることになったとしても、子どもの親権は夫婦双方にあり、夫婦が共同で親権を行使します。離婚するまで夫婦は共に子どもの親権者なのです。
妻(夫)から子どもを強引に取り上げて家を追い出したり、夫(妻)が子どもを置き去りにし、勝手に家を出て別居を始めてしまうようなことがあってはなりません。
離婚前提の別居をするときは別居をする前に、
- 子どもはどちらの親と暮らすのか。
- 子どもの生活費はどうするのか。
- 子どもと離れて暮らす方の親と子どもとの面会はどうするのか。
最低でも、これら3つのことについて具体的に話し合い、決めておく必要があります。